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紅藍テディー
ハローハロー、僕はここにいるよ。
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今日は三日月が異様に眩しい。

換気扇の回る不快な音が響いてはいるが、この腐りかけた路地裏では逆に汚れた風を取り込むだけだろう。
鼻をつく血の臭いは、壁に染み付いた其れか・・・否、悲鳴をあげている己の左肩からか。

『さっき銃声が聞こえたが・・・大丈夫か?』
雑音と共に耳に届く、聞き慣れた彼の声。
つい先刻も聞いたばかりの筈なのに、今は何故か―――ひどく懐かしくて、ひどく愛しい。
「大・・丈夫。ちょっとかすっただけ」
向こうには声しか届かないのだけれど。無意識のうちに笑いかけてしまう。
左肩の痛みが、少し和らいだ気すらした。
『今、何処に居る?直ぐそっちに向かう』
・・・どうやら、雑音は電波状態の所為だけでは無いらしい。微かに聞こえる荒い息遣い。
「僕が気付かないとでも思ってる、のかな・・」
『? 何か言ったか?』
「何でもない。それより、まだ敵が残ってるかもしれないから気をつけて」
『ああ。分かってる』
現在位置を伝えると、無線はぶつりと途切れた。

彼の声は不器用ながらも不思議と心地良くて。本当は、もう少し聞いていたかったのだけれど。
もう直ぐまた会えるのだと思うと、自然と頬が緩む。
彼の為なら待つのも苦では無い、と夜空を見上げ―――――

静寂を破る銃声。鮮血が飛び散る。

「――――え、」

信じたくない、信じられる筈も無い断末魔が、僕の理性を破壊した。
朝はきっと、もう来る事も無く。


    を         
(運命なんて、きっと)



                                        

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酸性キャンディー
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