× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 今日は三日月が異様に眩しい。 換気扇の回る不快な音が響いてはいるが、この腐りかけた路地裏では逆に汚れた風を取り込むだけだろう。 鼻をつく血の臭いは、壁に染み付いた其れか・・・否、悲鳴をあげている己の左肩からか。 『さっき銃声が聞こえたが・・・大丈夫か?』 雑音と共に耳に届く、聞き慣れた彼の声。 つい先刻も聞いたばかりの筈なのに、今は何故か―――ひどく懐かしくて、ひどく愛しい。 「大・・丈夫。ちょっとかすっただけ」 向こうには声しか届かないのだけれど。無意識のうちに笑いかけてしまう。 左肩の痛みが、少し和らいだ気すらした。 『今、何処に居る?直ぐそっちに向かう』 ・・・どうやら、雑音は電波状態の所為だけでは無いらしい。微かに聞こえる荒い息遣い。 「僕が気付かないとでも思ってる、のかな・・」 『? 何か言ったか?』 「何でもない。それより、まだ敵が残ってるかもしれないから気をつけて」 『ああ。分かってる』 現在位置を伝えると、無線はぶつりと途切れた。 彼の声は不器用ながらも不思議と心地良くて。本当は、もう少し聞いていたかったのだけれど。 もう直ぐまた会えるのだと思うと、自然と頬が緩む。 彼の為なら待つのも苦では無い、と夜空を見上げ――――― 静寂を破る銃声。鮮血が飛び散る。 「――――え、」 信じたくない、信じられる筈も無い断末魔が、僕の理性を破壊した。 朝はきっと、もう来る事も無く。 誰 も 僕 ら を 救 っ て は く れ な い (運命なんて、きっと) title by 酸性キャンディー PR この記事にコメントする
|
プロフィール
HN:
壱希
性別:
非公開
趣味:
読書、昼寝
自己紹介:
基本気紛れ、自己満足中心のサイト
たまに出てきてもそもそ書き殴ります 一応リンク・アンリンクフリー このサイトの文章は無断転載禁止です
カレンダー
アーカイブ
最新記事
(10/01)
(09/19)
(06/14)
(06/14)
(05/20)
(04/11)
(03/22)
(02/18)
(01/19)
(11/05)
フリーエリア
ブログ内検索
|